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三河の住人の庵

三河の住人の庵

享保年間 象の歩いた街道

享保14年(1729年) 長崎から江戸まで 354里を74日間かけて歩いた象行列の道筋。

今年(07年)11月 美濃街道を歩いた時 一宮市尾西歴史民俗資料館で 起(おこし)の象の船渡模型を見た。

美濃路起ぞうの船渡し.JPG

続く12月 今度は姫街道「引佐峠」で「象鳴き坂」という坂に出会った。

象図.JPG

ともに 江戸へ向かう 象行列の話であった。

なんとなく 興味がわいて 調べたら はまり込んでしまった。

ネットで検索したところ
 
-長崎から江戸へ-「象の旅」 石坂昌三 新潮社 92年発行
という本に行き当たり 古本を取り寄せた。

よく調べてある。

この本によると 長崎から江戸まで 陸路354里 74日かけて到着したという。

そのコースは(泊まりの宿を記す) 

小倉までは長崎街道を通った。

3月13日出発
長崎-矢上-大村-嬉野-神崎-田代-山家-飯塚-木屋瀬-黒崎-小倉

関門海峡は大里から赤間ケ関へ 石舟で遭難しかけながらも なんとか渡り

下関(寒波で4泊)-吉田-山中-宮市-徳山-玖珂本郷-関戸-久葉-広島-四日市原-本郷-尾瀬-高屋-川辺-岡山

片上-有年-姫路-大久保-兵庫-尼崎-大阪(3泊)-枚方-伏見-京都(2泊)

京都では 中御門天皇に拝謁。
参内のため 「広南従四位白象」に叙せられたそうだ。

草津-鳥居本-垂井-起-清州
揖斐川は水没しながらも歩いて渡り 長良川と木曽川は 象船で渡った。
名古屋、宮で休憩。

池鯉鮒-藤川-吉田で休憩-嵩山-(象鳴き峠)-気賀-浜松-袋井-金谷

御油ー天竜川と大井川も歩いて越えた。

岡部-興津-吉原-三島-箱根
箱根の坂は 引佐峠よりもきつかったとみえて
とうとうダウンしてしまった。
ここで4泊。

なんとか回復して
小田原-平塚-戸塚-川崎
六郷川には 船橋を架けて渡った。

品川で休憩後 江戸へ到着 浜御殿に入った。
5月25日だった。

27日には江戸城へ参上、8代将軍吉宗に謁見。

そもそも この象は 吉宗の注文により
ベトナムから はるばると長崎にやってきたのである。

吉宗の注文は雌雄の象であり 享保13年6月 
長崎に到着したときは雌雄2頭であったのだが
この年9月に牝象が死んでしまったという。

やむなく牡象だけが江戸まで旅したわけである。


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